SSDの値上がりについて調べていると、
次に必ずぶつかる疑問があります。
「SSDが高いなら、HDDで妥協すればいいのでは?」
「ハードディスクはさすがに安いままだよね?」
結論から言うと、
ハードディスク(HDD)もすでに値上がりの流れに入っています。
SSDほど目立ってはいませんが、
HDDは今、静かに・確実に価格構造が変わり始めている段階です。
この記事では、
- なぜHDDまで高くなり始めているのか
- SSD値上がりとどう関係しているのか
- AI時代におけるHDDの本当の役割
- 「枯れた技術」だからこその怖さ
- 今後、HDDはどうなっていくのか
- 今買うべきか、待つべきか
を、SSD記事とは重複しない視点で詳しく解説します。
結論を先に:HDDは「安い代替品」ではなくなりつつある
まず結論です。
ハードディスクは、
SSDの代用品として「安く大量に買える存在」ではなくなりつつあります。
理由は単純で、
AI時代においてHDDの役割がむしろ重要になっているからです。
HDDはなぜ今も使われ続けているのか
「もうSSDの時代なのに、なぜHDDが残っているのか?」
そう感じる人もいるかもしれません。
しかし現実には、
HDDにはSSDでは代替できない役割があります。
HDDが圧倒的に強い分野
- 大容量データの長期保存
- バックアップ
- ログ・履歴データの保管
- コールドデータ(頻繁に使わないデータ)
容量あたりのコストでは、
今でもHDDが圧倒的に有利です。
この「大量のデータを、安定して保存できる」という特性が、
AI時代に入って再評価されています。
「AIの胃袋」として、HDDが再注目されている理由
AIは「計算」と「保存」を完全に分業している
AIの世界では、
- 計算処理 → GPU + SSD
- データ保存 → HDD
という役割分担が基本です。
AIは学習・推論の過程で、
- 学習用の元データ
- 生成結果
- ログ・履歴
- モデルのバージョン違い
といった膨大なデータを生み出します。
AIはこれらを、
まるで**胃袋のように大量に“食べ続ける”**存在です。
そのデータをすべてSSDに置くのは、
コスト的にも、運用的にも現実的ではありません。
だからこそ、
「保存はHDD」
という構造が、
データセンターでは当たり前になっています。
なぜHDDの価格が上がり始めているのか
原因① データセンター向けHDD需要の増加
AI・クラウド・データセンターでは、
- 10TB
- 12TB
- 14TB
- 18TB以上
といった大容量HDDが大量に使われています。
この分野は、
- 数が出る
- 利益率が高い
- 長期契約が多い
という理由から、
メーカーが優先しやすい市場です。
その結果、
個人向けHDDの供給が相対的に後回しになる構図が生まれています。
原因② HDDは「枯れた技術」だからこそ怖い
ここが、SSDとの決定的な違いです。
HDDはすでに進化しきった、
いわゆる**「枯れた技術」**です。
- 技術革新は緩やか
- 新工場は簡単に作れない
- メーカーも設備投資を絞っている
つまり、
需要が急増しても、すぐに増産できない
という弱点を抱えています。
一度在庫が細ると、
回復までに時間がかかる。
これがHDDの本当の怖さです。
原因③ メーカーが少なすぎる現実
現在、HDDメーカーは事実上、
- Seagate
- Western Digital
- 東芝
の3社体制です。
競争が激しかった時代とは違い、
- 無理な値下げ
- 過剰生産
をする必要がありません。
結果として、
価格は下がりにくく、上がりやすい市場構造になっています。
SSD値上がりがHDDに与える「連鎖効果」
SSDが高くなると、
必ず起きるのがこの流れです。
「OSや作業用はSSD、
データ保存はHDDでいいか」
個人ユーザー側の変化
- 写真・動画の保存先をHDDに
- 外付けHDDの需要増
- NAS需要の増加
SSD値上がりは、
HDD需要を間接的に押し上げます。
この動きが、
データセンター需要と重なることで、
HDD価格は静かに上がっていきます。
狙われるのは「コスパ最強の8TB〜12TB」
影響が出やすいのは、
8TB〜12TBクラスのHDDです。
- 個人にとってはコスパが良い
- NAS・バックアップ用途に最適
- データセンター側でも使いやすい
SSDの2TBと同じく、
需要が完全に重なるゾーンです。
ここはすでに、
個人ユーザーとAIインフラの奪い合いが始まっています。
今後、HDDはどうなっていくのか
短期的に、
- 一気に倍になる
- 店頭から消える
といった事態は起きにくいでしょう。
しかし中長期的には、
- 緩やかな値上がり
- セールでも安くならない
- 容量単価が下がらない
という流れが続く可能性があります。
これは、
メモリ・SSD・グラボと同じパターンです。
今、HDDは買うべき?待つべき?
現実的な判断基準
- 明確な用途があるなら、早めに
- 使う予定がないなら、無理に買わない
特に、
8TB〜12TBを狙っているなら、
「前より2,000円高いけど在庫があるうちに買う」
これが、
今の相場ではかなり現実的な判断です。
来月には、
さらに2,000円上がっていても不思議ではありません。
中古・新古品HDDへの注意点(かなり重要)
最近、フリマサイトなどで
**「新古品」「ほぼ未使用」**として
大容量HDDが安く出回っているのを見かけます。
しかしここには注意が必要です。
AIブームで大量導入されたサーバーから、
- 不調の兆しが出た
- 予防的に外された
個体が、
早めに市場へ放出されている可能性があります。
特に、
- 使用時間が不明
- SMART情報が確認できない
個体は要注意です。
HDDは、
壊れるときは突然壊れます。
おすすめ関連リンク
コチラの記事もおすすめです
メモリ値段の推移はどこまで上がる?過去10年の価格と高騰の原因を分かりやすく解説|いつ買うべきかも提案【2025最新版】
- 外付けHDD 壊れにくい メーカー とは?バッファローHD-EDS8U3-BE 4年間実使用レビュー
https://www.personalcomputer.jp/hdd-reliable-maker/ - 【2025年最新】耐久性の高い外付けHDDおすすめと選び方
https://www.personalcomputer.jp/hdd-durability-2025/ - メモリ64GBが必要な人とは?
https://www.personalcomputer.jp/64gb-memory-needed/
まとめ:HDDは「逃げ道」ではなく「AIインフラ」
- HDDは終わった技術ではない
- むしろAI時代に重要性が増している
- 「枯れた技術」ゆえに供給が硬直的
- コスパ帯(8TB〜12TB)は奪い合い
- 安さだけで選ぶのは危険
ハードディスクは今、
「余った技術」から
「AI時代を支えるインフラ」へ立場が変わっています。
SSDとHDDは対立関係ではなく、
役割分担をしながら同時に価格構造が変わっている。
この視点を持っておくと、
これからのストレージ選びで
大きく迷うことはなくなります。
「今どうなってるのか」だけ、実際の在庫を見て確認したい人向けにリンクを置いておきます。
Q & A(5つ)
Q1. ハードディスク(HDD)の価格は本当に上がっているのですか?
はい、静かにですが上昇傾向にあります。
SSDほど話題になっていませんが、AI時代に入り データ保存用途として大容量HDDの需要が増加 しています。その結果、特に8TB〜12TBクラスを中心に価格が戻りにくい状況が続いています。
Q2. SSDが高いならHDDに切り替えれば問題ありませんか?
完全な解決策ではありません。
現在は SSDだけでなくHDDも連鎖的に値上がり しています。
「HDDなら安い」という前提は崩れつつあり、用途に応じて慎重に選ぶ必要があります。
Q3. なぜAI時代にHDDの需要が増えているのですか?
AIは計算処理にGPUとSSDを使いますが、
学習データ・ログ・履歴などの長期保存にはHDDが不可欠です。
AIが生み出す膨大なデータを保存する“胃袋”として、HDDの重要性が再評価されています。
Q4. 特に影響を受けやすいHDDの容量はどれですか?
8TB〜12TBクラスです。
この容量帯は、個人ユーザーにとってコストパフォーマンスが良く、同時にデータセンターやNAS用途でも使いやすいため、需要が集中しやすくなっています。
Q5. 中古や「新古品」のHDDを買っても大丈夫ですか?
注意が必要です。
AIブームで使われたサーバーから、不調の兆しが出たHDDが早期に放出されているケースも考えられます。
中古を選ぶ場合は、使用時間やSMART情報が確認できるものに限定するのが安全です。
※本記事には商品PRを含んでいます。 当サイトはAmazonアソシエイト、楽天アフィリエイトなどのアフィリエイトプログラムに参加しており、記事内で紹介している商品リンクを経由して購入された場合、当サイトに収益が発生する場合がございます。




コメント