はじめに:突然浮上した「SSDが壊れる」噂
2025年8月、Windows 11 24H2向けに配信された更新プログラム KB5063878。通常ならセキュリティ強化や安定性向上のための更新ですが、適用後に「SSDが壊れた」「PCが起動しなくなった」といった声がネットやSNSで広がりました。これがいわゆる “SSD破損疑惑” です。
その後、8月末に配信された KB5064081 によって状況は改善したとされます。では実際に何が起きていたのでしょうか。この記事では、疑惑の経緯からMicrosoftの見解、そして私たちが取るべき対策までをわかりやすく解説します。
1. KB5063878とは?どんなアップデートだったのか
KB5063878は、Windows 11 24H2向けに配信された累積更新プログラムです。主な目的は以下の通りです。
- セキュリティ強化
- AI関連のコンポーネント改善
- サービススタック(OSの基盤部分)の更新
つまり「最新の安全性を確保するための普通のアップデート」でした。ところが、アップデート後に一部ユーザーから不具合が報告され始めたのです。
2. SSD破損疑惑はどこから生まれたのか
報告された症状は次のようなものです。
- 大容量のファイルコピーやゲームのアップデート中にSSDが突然認識されなくなる
- 再起動後もSSDが消えてしまう
- SMART情報(ストレージの健康状態を示すデータ)が読み取れない
特に ドライブの使用率が60%を超えている状態 や 長時間の書き込み作業 のときに発生しやすいとされました。
これらの声がRedditや国内フォーラムに広がり、メディアでも「Windows 11がSSDを破壊?」と大きく取り上げられたのです。
3. MicrosoftとPhisonの公式見解
ユーザーの声が広がる一方で、Microsoftは 「アップデートとSSDの故障に直接的な因果関係は確認できない」 と発表しました。
また、SSDコントローラーメーカーの Phison も独自に4,500時間以上の検証を行いましたが、再現には至らなかったとのことです。
つまり、現時点では「WindowsがSSDを物理的に壊した」という証拠は見つかっていません。
4. KB5064081による修正内容
8月29日に配信された KB5064081 は、正式には「プレビュー更新」という位置づけです。しかし、ここには次のような修正が含まれていました。
- 大容量バックアップ時にメモリを使い切る問題を修正
- 一部環境での入力システム(IME)の不具合修正
- イベントビューアーに不要なエラーメッセージが出る問題を修正
SSD破損に直接触れてはいませんが、重い書き込み作業に関連する不具合が改善された のは確かです。そのため「KB5064081を入れたら安定した」というユーザー報告も多く見られます。
5. 影響を受けやすかった環境とは?
確定情報ではありませんが、報告をまとめると以下の条件で問題が出やすかったと考えられます。
- NVMe SSDを使用している場合(特に高性能モデル)
- 大容量データを一度に扱う作業
- 空き容量が少ないドライブ
- SSDのファームウェアが古いモデル
ただし、同じ環境でも何も起きなかったユーザーも多数いるため、原因は「複数の要素が重なった結果」と考えられます。
6. 今すぐできるユーザー対策
今回の件で不安になった方のために、実践的な対策を整理しました。
- Windows Updateを最新に保つ
KB5064081以降の更新を適用することで安定性が向上します。 - SSDのファームウェアを更新する
各メーカーの専用ソフトでアップデート可能です。 - 空き容量を確保する
20%以上の余裕を残すのが理想です。 - バックアップを徹底する
万一のトラブルに備えて、外付けHDDやクラウドに定期的に保存しましょう。 - 不具合が出たらロールバック
設定画面から該当の更新プログラムをアンインストールする方法もあります。
7. プロの視点
「今回のSSD破損疑惑は、実際には ドライバやファームウェアとの相性問題 が表面化したケースが多いと考えられます。OSアップデートでI/Oの処理が変わると、元々弱かった部分が一気に露呈することはよくあることです。重要なのは“最新の更新+ファーム更新+バックアップ”を常にセットで考えることです。」
8. 今後の展望
Windows 11 24H2はまだリリース直後で安定化の途中です。今後も累積更新で品質が改善されていくでしょう。
また、SSDメーカーもファームウェア更新を随時行っており、互換性はさらに向上するはずです。
ユーザーとしては、最新アップデートを適用しながら様子を見る のが最善の対応です。
まとめ:実際にSSDは壊れていない
- KB5063878の後にSSDトラブルが報告されたのは事実
- しかし、MicrosoftとPhisonの検証では「物理的破損の証拠なし」
- KB5064081で関連する不具合は修正済み
- ユーザーは「アップデート+ファーム更新+バックアップ」で安心して利用可能
結論として、SSD破損疑惑は過剰に広がった“誤解”の側面が強い と言えます。とはいえ、バックアップの重要性が改めて認識されたのも事実です。
❓よくある質問(Q&A)
Q1. KB5063878を入れると本当にSSDが壊れるのですか?
A1. 物理的にSSDが壊れる証拠は確認されていません。MicrosoftとSSDメーカー(Phison)の検証でも再現はされず、因果関係は否定されています。
Q2. SSD破損疑惑はどんな状況で起きたのですか?
A2. 一部ユーザーから「大容量コピーやゲーム更新中にSSDが消える」という報告がありました。ただし環境依存で再現率は低く、全ユーザーに発生するわけではありません。
Q3. KB5064081で本当に直ったのですか?
A3. KB5064081には「SSD破損修正」とは明記されていませんが、大容量バックアップやイベントログ関連の不具合が改善され、安定したという報告が増えています。
Q4. 今からKB5063878をインストールしても大丈夫ですか?
A4. KB5064081以降の修正版が公開されているので、最新アップデートを適用していれば安心です。
Q5. 不具合が出たときはどうすればいいですか?
A5. 再起動やデバイスマネージャーで確認、それでも改善しない場合は更新プログラムをアンインストールしてロールバックするのが有効です。
Q6. 予防策はありますか?
A6. Windows UpdateとSSDファームウェアを最新に保ち、空き容量を20%以上確保、そして定期的なバックアップを行うことが推奨されます。
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