初めに:なぜプロの私が24H2をレビューするのか
私は合同会社momoplaの代表として、30年以上音楽制作に携わってきました。録音からミックス、マスタリングまで一貫して手掛け、日々の制作では国内外の数百種類のプラグインを同時に扱っています。映像・舞台・ゲーム・配信など、多岐にわたる作品に楽曲を提供しています。
このような高負荷な制作環境では、OSの安定性やレスポンスが仕事の効率に直結します。特にOSアップデート後の挙動や互換性の変化は、一般ユーザー以上に敏感に感じ取ります。
このレビューでは、最新版のWindows 11 24H2を半年間、制作のメイン環境として使い込んだ実体験を具体的にお伝えします。これは音楽制作だけでなく、映像・グラフィック制作、ゲーム開発などの他のクリエイティブ分野にも必ず役立つはずです。
制作環境と検証条件:512GBメモリが語るリアルな現場
今回の検証環境は以下の通りです。
- CPU: Intel Core i9 プロセッサー
- メモリ: 512GB(大規模サンプルライブラリや映像編集を同時進行可能)
- ストレージ: 高速NVMe SSD複数搭載
- DAW(音楽制作ソフト): Cubase ほか
- プラグイン: Waves、UAD、Native Instruments、iZotope、FabFilterなど主要メーカー製をほぼ網羅
この環境では、OSの安定性が損なわれると即座に制作効率が低下します。24H2アップデート直後には一部の署名なしプラグインがブロックされるトラブルがありましたが、メーカーの対応や設定調整によって現在は問題なく稼働しています。
半年使って実感した3つの改善点
半年間の使用で特に評価できるのは、以下の3点です。
1. エクスプローラーの安定性向上
過去のバージョンでは、大量の音声ファイルや大容量プロジェクトファイルを扱う際にエクスプローラーがフリーズすることが稀にありました。しかし、24H2にアップデートしてからは、こうした現象が劇的に減りました。
X上でも「新しいファイルエクスプローラーのピン機能、めっちゃ便利!24H2にしてから共有ファイル探すストレスが減った。地味だけど最高。」といった肯定的な声が多く見られます。
2. マルチタスク処理のスムーズさ
大規模なDAWプロジェクトを開きながら、After EffectsやPremiere Proなどの映像編集ソフトを同時に起動しても、以前より軽快に動作するようになりました。特に以下の作業を同時に行っても、CPU負荷や遅延は最小限に抑えられています。
- 大容量サンプルライブラリの読み込み
- 3Dレンダリング作業
- 大量の音声ファイルをプレビューしつつ即時編集
3. 待機時間の短縮とCPU負荷の低減
結果として、制作現場で「待たされる時間」が減ったことは大きな収穫です。体感速度の向上は、集中力と作業効率の両面で大きなメリットをもたらします。以前のバージョンでは同様の作業でCPU使用率が80%を超えることもありましたが、24H2では60%程度に収まることが多く、作業がより快適になりました。
クリエイターを襲った最大の罠:セキュリティ機能によるプラグイン停止
最大のトラブルは、セキュリティ機能の強化によるプラグインの一斉停止でした。
原因はSmart App ControlとWindows Defender SmartScreenによる過剰検知で、未署名ながら安全なプラグインまで起動できなくなるケースが多発しました。
この問題は設定変更や例外登録で解決可能ですが、作業が中断されるリスクは無視できません。私はこの不具合に直面した際、自力で解決策を見つけ出し、同様の問題に悩む方のために詳細な手順を解説しています。
➡ Windows11 24H2不具合|ソフトが起動しない/無反応/グレーアウトする原因と対処法
世間の声:X上での肯定・否定的な反応
私の体験だけでなく、他のユーザーの声も見てみましょう。
肯定的な意見
- 「24H2、めっちゃ安定してる。ゲームもサクサク動くし、BSODも全然見なくなった。前のバージョンより明らかに快適だわ。」
- 「Windows 11 24H2のAIカメラエフェクト、Zoom会議で背景ぼかし使ってみたけど、めっちゃ自然でいい感じ。こういう進化好きだな。」
否定的な意見
- 「24H2のアプデ後、ゲームがクラッシュしまくり。Easy Anti-Cheatとの相性悪すぎる。ゲーマーには地獄だわ、これ。」
- 「なんで24H2にしたらクリップボードがバグるの?コピペできないのマジでイライラする。マイクロソフト、ちゃんとテストした?」
クリエイター視点での総合評価とアップデート時のアドバイス
総合評価
- 安定性: 過去バージョンより改善され、大規模制作環境でも安心して使えるレベルに到達。
- パフォーマンス: マルチタスク処理が向上し、長時間の作業にも耐える。
- 注意点: アップデート直後はプラグインや周辺機器の互換性チェックを必ず行うべき。
映像・音楽・ゲーム開発など、複雑なワークフローを持つクリエイターにとって、24H2は**「慎重にアップデートすれば大きな恩恵が得られる」**バージョンといえます。
アップデート時のアドバイス
- バックアップを取る: Windows標準の回復機能だけでなく、外付けHDDにシステムイメージを作成しておくことを強く推奨します。
- テスト環境で検証: 本番前にサブPCで動作確認をする。
- 不具合発生時はロールバック: 10日以内なら「設定 → システム → 回復」から前バージョンに戻せます。
よくある質問(Q&A)
Q1:今回のレビューは、ゲーミングPCでも参考にできますか? A1: はい、十分に参考にできます。音楽制作もゲームも、高性能なCPUや大容量メモリを必要とする点が共通しています。特にマルチタスク性能や安定性の向上は、ゲームの動作にも良い影響を与える可能性が高いです。ただし、ゲーム独自の不具合(Easy Anti-Cheatとの相性問題など)も報告されているため、アップデートの際は事前に情報収集を行うことをおすすめします。
Q2:24H2へのアップデートは、今すぐ行うべきですか? A2: 私の経験からすると、メインのPCで作業している場合は、急いでアップデートする必要はありません。 制作環境が安定しているなら、しばらく様子を見て、必要な情報や解決策が出揃ってからアップデートするのが賢明です。どうしてもすぐにアップデートしたい場合は、必ず重要なデータのバックアップを取り、不具合発生時に備えるようにしてください。
Q3:署名のないプラグインがブロックされる問題は、24H2の仕様なのでしょうか? A3: 厳密には、24H2で強化されたセキュリティ機能(Smart App Controlなど)が、署名のないプログラムを「安全ではない」と判断してしまうことが原因です。プラグインメーカー側が正式な署名を取得すれば問題は解決しますが、そうでない場合は、記事で紹介した方法で一時的にセキュリティ設定を調整する必要があります。これはクリエイターが直面しやすい、OSの利便性とセキュリティのバランスを問う問題と言えます。
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