2024年6月に配信されたWindows 11の大型アップデート「24H2」を適用後、多くのDTMユーザーから「Cubaseで愛用していたVSTプラグインが突然使えなくなった」という悲鳴が上がっています。プラグインマネージャー上では名前が見えるものの、グレーアウト(薄い表示)して有効化できないこの問題、実はWindowsの新セキュリティ機能が原因でした。
この記事では、VSTプラグインを完全復活させるための具体的な手順を解説します。
【発生する現象】
- Cubaseのプラグインマネージャーで、特定のVSTプラグインがグレーアウト表示になる
- プラグインを有効化しようとしても反応しない、または読み込みに失敗する
- 結果として、プロジェクトファイルが正常に開けない、音源が使えない事態に
【問題の根本原因:強化されたWindowsセキュリティ】
この問題の引き金となっているのは、Windows 11 24H2から強化されたセキュリティ機能「Smart App Control」および「Windows Defender SmartScreen」です。
これらの機能は、開発元が不明なアプリやファイル(未署名のDLLファイルなど)を潜在的な脅威とみなし、実行をブロックしたり隔離したりします。多くのVSTプラグイン(特にフリーウェアや海外製の古いもの)はこの「未署名DLL」に該当するため、OSによって動作を止められてしまうのです。
Cubase側から見ると、「ファイル自体は存在するが、OSから使用許可が下りない」という状態のため、プラグインを認識しつつも有効化できない「グレーアウト表示」となります。
【VSTプラグインを完全復活させる手順】
以下の手順でWindowsのセキュリティ設定を変更することで、プラグインは再び認識されるようになります。
- Windowsのセキュリティ設定を開く
スタートメニュー
→設定
→プライバシーとセキュリティ
→Windowsセキュリティ
を選択。
- アプリとブラウザーの制御へ
アプリとブラウザーの制御
をクリックします。
- 評価ベースの保護を無効化
評価ベースの保護の設定
をクリックし、以下の項目をすべて「オフ」にします。アプリとファイルの確認
Smart App Control
(※一度オフにすると再インストールしないとオンに戻せません)望ましくない可能性のあるアプリのブロック
- PCを必ず再起動
- 設定変更をシステムに反映させるため、必ずPCを再起動してください。
- Cubaseでプラグインを再スキャン
- Cubaseを起動し、プラグインマネージャーからプラグインの再スキャンを実行します。
- グレーアウトしていたプラグインが正常に認識され、有効化できるようになります。



【Cubase以外のDAWソフトでも同様の問題が発生】
この問題はCubaseに限定されたものではありません。FL Studio, Studio One, Ableton Live, Reaperなど、VSTプラグインを利用する多くのDAWソフトで同様の報告が上がっています。また、動画編集ソフトのOFXプラグインなど、VST以外の場面でもサードパーティ製DLLがブロックされる可能性があるため、DTMユーザー以外も注意が必要です。
Windowsのセキュリティ強化は歓迎すべきことですが、クリエイティブな作業環境に影響が出るのは困りものです。同様の症状でお困りの方は、ぜひこの手順をお試しください。
【補足情報】
他のソフトでも起こりますか?
- はい。FL Studio, Studio One, Ableton Liveなど他のDAWや、動画編集ソフトのプラグインでも同様の現象が報告されています。
- セキュリティをオフにして大丈夫?
- これらの機能をオフにすると、PCの保護レベルが低下します。信頼できないウェブサイトからファイルをダウンロードする際は、十分に注意してください。作業が終わったら設定を元に戻すことも検討しましょう。
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