- ■はじめに:Windows 11 25H2 で何が起きていたのか
- ●症状:シャットダウンしたはずが、朝見たら PC が起動している
- ●原因の本質
- ① Windows Update → 最新ビルドに更新
- ② 「更新してシャットダウン」が正常に動作するかテスト
- ③ ノートPCは特に注意
- ●① WinRE(回復環境)で USB マウス&キーボードが操作不能
- ●② DRM保護コンテンツが再生できない(Blu-ray / デジタルTV など)
- ●③ タスクマネージャーが複数残留して CPU を大量消費
- ●④ SMB v1 のファイル共有が繋がらない
- ●① Windows Update の「アクティブ時間」を正しく設定
- ●② 「高速スタートアップ」を無効にして安定性重視
- ●③ ノートPCは「スリープではなくシャットダウン」を基本に
■はじめに:Windows 11 25H2 で何が起きていたのか
2025年に入り、Windows 11 の大型アップデート「25H2」が順次展開されているが、同時に数多くの不具合が報告されてきた。その中でも、ここ 2 週間で最も大きな話題となったのが 「更新してシャットダウン(Update and Shut Down)」を選んでも PC がシャットダウンせず、勝手に再起動してしまうバグ である。
この問題は Windows 10 の時代から存在していた“歴史的バグ”であり、多くのユーザーが 7~9 年以上も不満を抱えていた。ところが 2025年10月〜11月に配信された Build 26200.7019(KB 5067036) および 11月11日の Patch Tuesday で、ついに Microsoft が修正を正式発表。ユーザーコミュニティでは「やっと直った」「何年待たせたんだ」という安堵と皮肉が交錯している。
本記事では、
①「更新してシャットダウン問題」の詳細
② 原因の仕組み
③ 修正されたビルド
④ その他25H2の主要不具合
⑤ 今後の注意点
を、専門知識がなくても理解できるレベルで徹底解説する。
■1. 「更新してシャットダウン」が勝手に再起動するバグとは?
●症状:シャットダウンしたはずが、朝見たら PC が起動している
通常、「更新してシャットダウン」は…
更新 → 再起動 → 処理完了後にシャットダウン
という動作を行う。しかし問題となっていたバグは、
更新 → 再起動 → “シャットダウン命令が消失” → PC が起動したままログイン画面に戻る
という異常な動作を起こす。
夜寝る前に「更新してシャットダウン」を選択
↓
朝 PC を確認したら“電源がついたまま”
この現象に多くのユーザーが悩まされていた。
●影響は想像以上に深刻
- ノートPCは バッテリーが朝まで消費される
- 企業では 夜間の省電力運用が崩れる
- 自動化用の PC が 意図せず再起動 → システム停止
など、 “見た目以上に大きなトラブル” を引き起こす厄介な問題だった。
■2. バグの原因:Windows の複雑な「オフラインサービシング」処理
Microsoft は技術的詳細を細かく説明していないが、複数の技術メディアと内部解析から次のようなメカニズムが推測されている。
●原因の本質
- Windows Update は
「更新適用のため一度再起動」
を内部処理として組み込んでいる。 - その後、本来は OS が
「命令:シャットダウン」
に戻る必要がある。 - しかし “特定の条件下” で
シャットダウン命令がリセットされる/消える - 結果、
再起動 → ログイン画面 → 電源が入りっぱなし
これがバグの正体だ。
Windows 10 時代から存在していたため、この内部処理の設計そのものに長年修正できなかった要因があるとみられる。
■3. 修正されたビルド:Build 26200.7019 以上に更新すれば解決
Microsoft は 2025年10月28日配信の KB5067036(プレビュー更新) で初めてこのバグを修正したと発表した。
●修正が含まれるビルド
| エディション | 修正済ビルド |
|---|---|
| Windows 11 25H2 | Build 26200.7019 以降 |
| Windows 11 24H2 | Build 26100.7019 以降 |
そして 2025年11月11日の Patch Tuesday(正式累積更新) で、この修正が全ユーザー向けに一般公開された。
●Microsoft公式の修正内容
サポート文書には以下の記述がある。
「‘Update and shut down’ を選んでも実際にシャットダウンしない問題を修正しました」
これは明確に今回のバグが対象である。
■4. 今後ユーザーがすべき具体的な対応
以下の項目を確認することで、あなたの PC が今後同じ問題に悩まされるリスクを確実に減らせる。
① Windows Update → 最新ビルドに更新
まずは以下の場所で現在のバージョンを確認する。
スタート → 設定 → システム → バージョン情報
「OS ビルド」が 26200.7019 以上 であれば修正済み。
② 「更新してシャットダウン」が正常に動作するかテスト
更新がある状態にしてから…
スタート → 電源アイコン → 更新してシャットダウン
翌朝、電源が切れているかを確認する。
③ ノートPCは特に注意
夜間に勝手に再起動 → 起動しっぱなし
→ 朝バッテリーゼロ
という事例が多数報告されていた。
ノート利用者は必ず確認しておきたい。
■5. Windows 11 25H2 のその他の重大不具合(最新)
25H2は比較的安定した更新と言われていたが、実際には多くの不具合が発生している。
●① WinRE(回復環境)で USB マウス&キーボードが操作不能
一部の 25H2 / 24H2 更新後、
回復環境で USB 入力が効かなくなる
という重大バグが報告された。
PC が起動不能になった時に “操作ができない” ため、ビジネス用途では致命的。
→ Microsoft が修正に着手しており、段階的に修正版を提供中。
●② DRM保護コンテンツが再生できない(Blu-ray / デジタルTV など)
- 映画ディスク
- 地デジ閲覧アプリ
- 一部の有料配信サービスアプリ
これらで 黒画面になる、再生が止まる などの不具合が発生。
ストリーミング(Netflix / Prime Video など)はほぼ問題なし。
●③ タスクマネージャーが複数残留して CPU を大量消費
タスクマネージャーを閉じても
プロセスがバックグラウンドに残り続けるケースがある。
長時間PCを放置すると CPU・RAM を圧迫し、パフォーマンスが低下。
暫定対策:
「タスクの終了」で明示的に閉じること。
●④ SMB v1 のファイル共有が繋がらない
古いNASや業務用装置を使う企業に最も影響した不具合。
SMB v1 は古い規格のため、Microsoft はすでに非推奨にしている。
可能なら SMB2/3 に切り替えたい。
■6. なぜ25H2は不具合が出やすいのか?
理由は「Enablement Update(機能有効化方式)」にある。
Windows 11 の H2 更新は、実は OS を一から作り直しているのではなく、
中身はすでに PC に入っている → 有効化スイッチを入れるだけ
という方式だ。
メリットは高速アップデートだが、デメリットとして…
- 古い設定やレジストリが残る
- 過去バージョンの不具合も抱えたままになりやすい
- ドライバとの競合が発生しやすい
という問題が生まれやすい構造となっている。
今回の「更新してシャットダウン」問題が 10 年以上残っていた理由の背景に、この仕組みがあると推測される。
■7. 不具合を回避するためのおすすめ設定
●① Windows Update の「アクティブ時間」を正しく設定
夜間の不要な自動再起動を防ぐ。
設定 → Windows Update → アクティブ時間
●② 「高速スタートアップ」を無効にして安定性重視
高速スタートアップは便利だが、電源関連のバグを引き起こしやすい。
●③ ノートPCは「スリープではなくシャットダウン」を基本に
スリープ→更新→再起動の流れでトラブルが起きやすいため、25H2では特に注意。
■8. 今後の展開:25H2は安定に向かうのか?
Microsoft は2025年後半にかけて、
25H2 の安定性改善を最優先課題
としている。
特に電源管理・シャットダウン機能周りは、企業が強く不満を抱いていたポイントだ。そのため今後 1〜2 回の累積更新で、さらに細かいバグの修正が進む見込みが高い。
■9. まとめ:Windows 11 25H2 の不具合はまだ多いが、最大のバグがついに修正された
✔ 今回修正された最大の不具合
- 「更新してシャットダウン」が再起動になる
- Windows 10 時代からの宿痾(しゅくあ)
- Build 26200.7019 以降でついに修正
✔ その他の25H2不具合
- WinREでUSB入力が効かない
- DRMコンテンツが再生できない
- タスクマネージャー残留
- SMB v1共有が動作しない
✔ 結論
まだ細かな問題は存在するが、
最も深刻だった“電源が切れない問題”がようやく解決されたことの意義は大きい。
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Q & A
Q1. Windows 11 25H2 の「更新してシャットダウン」が再起動する原因は何ですか?
A. Windows Update の内部処理(オフラインサービシング)で、一時的に再起動が必要になる仕組みがあり、その後実行されるべき「シャットダウン命令」が一部環境で消失するのが原因です。結果、更新→再起動→ログイン画面という誤動作が発生し、電源が切れない状態になっていました。
Q2. このバグはどの更新で修正されましたか?
A. Build 26200.7019(KB5067036)以降で修正されています。また、2025年11月11日のPatch Tuesday累積更新でも一般ユーザー向けに正式提供されました。
Q3. 自分のPCが修正済みかどうかはどこで確認できますか?
A.
設定 → システム → バージョン情報
の「OSビルド」が 26200.7019 以上 であれば修正済みです。
Q4. ノートPCでこのバグが起きると何が困るのですか?
A. 電源が切れず起動したままになるため、夜間にバッテリーが大量消費され、翌朝にはバッテリー残量がほぼゼロというケースが多数報告されています。
Q5. 「更新してシャットダウン」が正常に動作するか確認する方法は?
A. Windows Update を未適用の状態にしてから、
スタート → 電源 → 更新してシャットダウン
を実行し、翌朝 PC の電源が完全に切れているかを確認します。
Q6. Windows 11 25H2 の他の不具合もありますか?
A. あります。代表的なものは次のとおりです:
- WinREでUSBキーボード/マウスが使えない
- DRM保護コンテンツが再生できない
- タスクマネージャー残留バグ
- SMB v1 の共有が動作しない
これらは Microsoft が順次修正対応を進めています。
Q7. 今後25H2は安定していきますか?
A. はい。Microsoftは25H2の安定化を最優先にしており、今後2〜3回の累積更新でさらに不具合が減ると予想されています。
Q8. 安定運用のためにユーザーが今すぐできる対策は?
A.
- 最新ビルドへの更新
- 高速スタートアップの無効化
- アクティブ時間の適正設定
- ノートPCはスリープよりシャットダウンを優先
この4点を徹底することで不具合発生率を大幅に下げられます。



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